京都のあまいもん・・・甘さの神髄にある毒気を粋な物語と共にねぶってみて。

 

 

 

 


**11  「亀屋伊織」の 附子(ぶす)
たった2文字の悪口に聞こえる響きにまず、刺激を受けます。次に、洗練されたデザインは開封時の楽しさを引き立てています。それを包む意外な長さの紙袋から始まったショートストーリー。その中の四角い箱に行き着くと、黒のフタに手触りのよい赤の帯が巻き付けられています。そっと開けると十字に広がる展開図の上にやっと姿を現す「附子(ぶす)」の本体は、琥珀をスモークしたような柔らかな飴色。瓶の蓋をとると、勿体つけずに香ってくる水飴に思わず指が伸びますが、ここは冷静に深呼吸。案内の小さな紙に書かれた言葉に甘えて「3時」ではなかったけれど、スプーンにとって舐めてみました。なんという蜜。ただ甘いだけではない毒気さえ帯びたようなキリリした水飴。「珈琲に入れるもよし パンにぬるもよし お三時には割箸に取りねぶる(舐める、の京都弁)も又又よし」ストーリーはまだ続きます。印象的なその名前の由来を読んで又又納得。「附子(ぶす)。狂言の一つ----。主人が水飴を、附子という大毒とだまして外出する。太郎冠者・次郎冠者は、主人の留守に食い尽くしてしまい、主人の大切な品物をこわしたので附子を食べたが死ねなかったと言いわけをする。」さて独り占めしたいけど、毒、と書いたラベルで貼りかえるのはやめておきます。
薄茶のお干菓子専門の亀屋伊織がつくっていますが、直接買うことはできません。細見美術館アートキューブショップにて販売。

 

 
★data★ 細見美術館アートキューブショップ:京都市左京区岡崎最勝寺町6-3 BF/TEL 075-221-8811

 

 

inserted by FC2 system