爪のナイフ

浜辺で、男の子と砂のかけっこをした、小学4年の夏。

林間学校の油壷で。

顔中砂だらけになり、遊んでいた。

先生はその様子を面白がり、「写真を撮ってやる」とカメラを構えた。

男の子は素直に砂浜に腰かけた。

みんな笑っている。

わたしは走って海に逃げた。

少し切なく傷ついて。

その写っていない写真は、記憶の中の鮮明な一枚だ。 

思い出す度、胸の奥がつん、となる。

 

★data★カメラ:olympus pen EE(米谷さんありがとう)/場所:スリランカ・キャラニア/お話:夏木わかな

 

 

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